ひょんな事からプロ原型師にフィギュア製作を教わってきた【模型塾】1回目
みなさん、オタクしてますか。フィギュアは、お好きですか。
今回は、「初めて紙粘土でフィギュアを作りたいので準備を進めているうちに、
いきなりプロの原型師の方に作り方を教えていただく機会に恵まれてしまった経緯」を
製作過程を交えて載せていこうと思います。
教科書と粘土があれば…?ある場所へ相談に行ってみた
今回の機会に恵まれるまで、フィギュアや模型、いわゆる造形作品には縁深いほうでした。
具体的に言うと、
- 家に美少女フィギュアが18体ある
- プラモデルを6体作った(一部塗装まで)
- フィギュア作りの教科書を買い、粘土でフィギュアを作りかけた
といった具合です。
「作ったことあるじゃねえか」とお思いの方、そうなんですけど、
教科書と微妙に作りたいものが違い、適当に作っているうちに持病のうつを発症し、
作りかけの不気味な像は埃を被り、最終的に捨ててしまいました。
もう一つ、プラモデル作りは確かに造形作品ですが、フィギュアを作るのとは全く作業が違います。
(分かってる方は読み飛ばしてくださいね)
プラモデルはちょうど児童向け雑誌の紙のふろくのように、つながっているパーツたちを
切り離し、パーツ同士をはめ込んだり接着すれば完成します。
形を最初にイメージしたり自分で決めたりしなくてよく、説明書通りに作業すれば
パッケージ通りのものが出来上がります。
プラモデルの経験があっても、フィギュアの作り方は会得できません。
時が経ち、徐々に元気になってきた頃、探し物をしていると
いつかの捨ててしまったヤツの材料の残りが保存してあるのが見つかりました。
指で押してみると柔らかい。
まだ生きている!使える!
一度でいいから自分の手でカッコいいフィギュアを作ってみたかった私は、
今度は以前のように適当に・いきなりではなく、ある場所に相談に行ってみました。
向かったのは「秋葉原工作室」(http://www.geocities.jp/akihabarakosaku/)
模型やフィギュアの工作スペース・必要な道具を安価で貸し出すとともに、
製作のアドバイスもしてくれるスポットです。プラモデル作りで何度もお世話になり、
聞くならここしかないだろうと思っていました。
事前に電話でアポを取り、工作室で店長さんに聞いてみます。
「あ、あの、フィギュア作りたいんですけど、この、粘土で…きょ、胸像っていうのかな…
胸から上のやつで…綾波レイで…教科書は持ってます。それ見たらできるんですか?」
不必要にキョドる私に店長さんは言いました。
「教科書だけではうまくいかないです。
教科書は工程の写真と写真の間がないので、読んだだけじゃわからないことが沢山出てきますよ。
初心者なら、プロの方が開かれている教室に通ったほうがいいですね。」
「えっ…」そんなのあるの…ていうかそうしたほうがいいの?未知の情報に固まる私に
店長さんは続けました。
「この辺だと、東海村 原八さん(twitter:@modelkingdom)て原型師の方が
教室やってらっしゃいます。行かれるといいと思いますよ。」
twitterアカウントを教えていただきツイートを覗くと、
本日4/8(土)の模型塾、3コマ目(17:00-19:00)のフリー枠 https://t.co/2MjRyZQqyx 空き席ありますので、いつものように飛び入りOK。¥2000(女性割引き¥1000)で何でも聞き放題です。ヽ('A`)ノ
— 東海村 原八 (@modelkingdom) 2017年4月8日
今日開催してる!せ、1000円?
電気街口で謎のインド人に売りつけられそうになったヨガの聖典が400円なのに、
プロのフィギュア教室が1000円…。
行くしかない!店長さんにお礼を言い、参加を決めて工作室を後にしました。
教室の詳細はこちら。→http://modelkingdom.net/index.htm
飛び込みOKとのことですが、材料や道具は各自持参とあったので
ヨドバシで店員さんに相談してオススメされたものを買い、
何かに使えるかもしれないと思い持っていた全てのプラモデル用工具を持ち、
サイトの指示通り教室へ向かいました。
遅刻、暖かい待遇、そして製作開始
駅員さんに道を聞いたのに逆方向に向かい遅刻をやらかしました。10分。バカモン。
田原町付近のネコちゃんがよく吸い込まれて行くような路地を通ると、
やってますな…工作。10人くらいが各々机に向かって作業しています。
参加したいんですが、と声をかけると眼帯をつけた男性、東海村原八先生がどうぞどうぞとすぐ入れてくれました。
教室は下北沢のカフェでありそうな、古民家を改造した風なおしゃれで落ち着く空間でした。
「今日はどんなものを作りますか?」と聞かれたので、「綾波レイの胸像で、元にする画像はこれ、材料はこれです。道具はこれこれを持ってきました。」と説明。
先生は材料と道具をチェックすると、「あ!これはね…使わないほうがいいです」
これとはこちらのこと。
ヨドバシで店員さんに勧められた商品でした。
ポーズを作るのが難しく、関節もプラプラするので初心者には向かないとのこと。
400円でした。ヨガの聖典買ったほうが面白かったと思います。
「素材は今回必要な分差し上げますんで、これでまず顔を作っていきましょう」
思わずえ!?とデカめの声を出してしまいました。素材いただいてしまった…。
下さった素材はこちら。(本来は持参です!)焼くと固まる粘土だそうです。
こんな感じで芯を埋め込んで、
顔の中心やパーツの位置をヘラで彫って
削ります。
途中、先生が「以前作った綾波なんですけど参考にしてください」と言って
貸して下さいました。至れり尽せりか…。
左に近づけていきます。
「頑張ってほしい」モニター越しに微笑んで励ましてくれる綾波。…そういう妄想力が求められるんだよ、クリエイターには。多分。
1時間ほど、画像と比較して鼻の位置は「目と顎の中間点より少し上」 口の位置は「鼻と顎の中間点より少し上」
「おでこと顎は高い所、低い所をつなぐアーチを意識して」などアドバイスをいただきながら、
終了時間までやってみた結果がこちら。
お手本にはまだまだ届きませんが、どの視点からでもだいたい「ヒトの顔」にはなりました。
ちなみに知人にこれを見てどう思うと聞いたところ、「ヒトの顔だ」と言っていました。うん、そうだよ。
「だいたいいいですね。この後顔が出来上がったら焼いて固め、上から髪をくっつけていきましょう」とのご指南でした。
2時間の開催時間は、ここで終わりです。
教室では出席簿を回していて、名前と一緒に自分の抱負を書く欄がありました。
「欲しい!と思ってもらえるような作品を作る」
自己満足で終わらない、愛される作品を作りたいと思いを込めて書き込みました。
ちゃんと完成したら愛してあげてください。
ちなみに後で分かったのですが持っていた教科書の著者は今回の先生本人でした。
持ってる本の著者に会ったのは古屋兎丸先生以来です。
フィギュアの教科書 原型入門編 (How to build GARAGE KIT vol.01)
- 作者: 模型の王国
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2013/10/29
- メディア: 大型本
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適当に始めなくてよかった
本当に良かったです。手さぐりで、誰にも教わらず自分なりの道を行くのも経験としてはいいと思いますが、
プロに教えていただくメリットは、「楽しく作れるよう、道を間違わないようガイドしてくれる」ことが大きいと感じました。
もし工作室に行かず、教科書の知識しかなく、いただいた粘土の存在を知らず、芯の刺し方が分からず、
髪を別に作ろうとせず、お手本がなく、顔のパーツのバランスも、丸みも分からなかったら、
それはそれで面白かったのかもしれません。
でも、「愛される作品を楽しく作ってみたい」のなら、回り道、時間の無駄、要らない出費などマイナス要素は避けて通りたいものです。
そういうマイナス要素を排除して、楽しく完成形に近づけてくださいました。
次回の開催日は友人の結婚式に出るので、次の工程はだいぶ先になりそうです。
ちなみに最初に発見した粘土は今回ガン無視してしまったのでまた何か利用法を考えます。
長い時間かかる計画ですが、参考になった・ウケる・完成形が見たいなど
思っていただけるよう、製作を続けようと思います。
帰りに通った雷門。浅草っていい所じゃのう。