粘土でサーバルキャットを作る【最終話(完成)】
こんにちは。この記事をご覧のみなさまにはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
シベリアです。
さて、半月に渡って進めたサーバルキャット制作もいよいよ大詰めです。
ほんとに今回で完成するんだろうな?いい加減なもん作ったら承知しねえぞ。
存じております。いい加減かいい塩梅か、続きをご覧になってください。
これまでの過程はこちらから。↓
新キャラ登場!
前回で問題というか次の課題としたのは、「今使っている素材では、表面の表現に限界がある」ということです。
今使っている素材とはパジコ ハーティソフトクレイ 200g [白]。マシュマロのように軽くて柔らかい材質の樹脂粘土ですが、乾いた後も弾力があり、削る・やする作業には向いていません。発泡スチロールをひっかいたようにぼろぼろになってしまうことが前回判明しました。
さあどうする、とその前に、この時点での進捗を見てみましょう。
削ってある…?と思った方、当たりです。
向いてないとは言ったができないとは言っていない。デザインナイフでできるところまでゴリ押ししました。
しかしこのままでは表面はざらついているし、完成させることは難しそうです。
そこで…
俺にまかせな
赤いパッケージに包まれて登場しましたのはニューファンド。
こちらは「石粉粘土」と呼ばれる粘土の一つ。石粉粘土には他にも色々種類があるようですが、今回ニューファンドを選んだ理由はパッケージに記載されていたこの売り文句です。
「乾燥後は丈夫になり、彫刻等ややすりがけでの補正をする事が出来るため、フィギュアなどの細密造形では、キメがとても細かくなるまで磨く事が出来ます。」
「芯材として発泡スチロール、厚紙、段ボール、ガラス、布などに接着出来ます。」
ピッタリじゃないか。ちなみにお値段はこの時買ったお店で474円。ワンコインでお釣りがきました。
では使っていきましょう。
一口サイズくらいに(食べないです)ちぎり、扱いやすくなるまでこねて表面になすりつけていきます。
ねちょ~
細い部分は巻き付ける感じで丈夫にしてやります。ヘラでなでて凸凹をならします
もったり
もっさりとした感じになりましたが表面のガタガタは埋められました。なんか左前脚のスネが腫瘍みたいになってるのは折れかかってたので補強するためです。
もっさり状態で一旦乾かして、次の作業へ。
モサモサ
いきなり何ラクガキしてんの?という感じですが、削ったりやすって表面を整える時、毛並みが意識できるように毛の流れを書き込んでいます。
ヌーン
削って無くすところは削り過ぎないようあらかじめ囲っておきました。自分で書いといてなんですが脇毛っぽさがやばい。早く削り落としたいです。
ということで脇毛もろとも無駄を削ぎ落として行きましょう。
削る〜懐かしのアレ〜
じゃあ削っていきます。まずは腫瘍みたいなの(補強の跡です)をデザインナイフで削いでやります。削った感触はニンジンの太い側の皮むきに近い硬さですね。「え…」って思った経験者の方は気にしないで下さい。多分私がおかしいので。
つるりと削れました。しかし次の問題が……脇とか首とか、でっぱりがないとこがデザインナイフじゃ無理!
これじゃ脇毛どーすんだよ…悩んだ末用意したのはこちら。
懐かしいですねえー。小中学校で図工の時間に木版画を作った経験がある方は少なくないと思います。彫刻刀には他にもプロ仕様の高いものとかあるようなんですが、私は貯金が小学生レベルなので小学生っぽいのにしました。
使ったのは丸刀(小)と三角刀。丸刀は彫った跡が楕円形でなだらかに彫れ、三角刀は深く鋭く彫れるのと丸刀より細い彫り跡が残せます。
脚の間を彫って溝を作る以外の作業はほとんど丸刀で済みました。
脇毛もバッチリ剃れ…彫れました。つーか脇毛ではないんですけど。
顔も少し鼻筋や目元にメリハリをつけます。この作業はデザインナイフも活躍しました。
うわ〜、エジプトにいそう。
ぜってーサバンナのキャットにしてやるからな。
この段階ではまだ慣れない手つきで彫った細かい傷跡が付いているので、それも埋めようと思います。
どうするかというと…
こちらはプラモデルに筆で色を塗ったことがある方はおなじみかもしれません。塗料を入れる塗料皿です。それだけです。
ちぎった粘土を水に浸してベチョベチョにします。
で、このヘラは使わずに、指ですくって塗ったくります。(手がネトネトになるのが嫌な人はマネしないでください、ていうか手を使うこと自体正しいのか分かってません)
ガタガタした部分や削り過ぎて穴ボコになってしまった部分が修復できました。
画像を見たら分かるかと思いますが、毛羽っていたりダマがくっついていたりするので、次はヤスリをかけます。
しかし石粉粘土にヤスリをかけるということはどういうことか、それは大量の粉が出るということです。今までの削りくずはカンナ屑みたいなものだったので掃除も簡単だったのですが、粉塵となると…。
どこかに粉塵出し放題の場所はないか。考えた末ある場所へ向かいました。
サーバルちゃん、誕生
到着したのは秋葉原工作室。
ここはプラモデル、フィギュア等工作を楽しむ空間を提供する模型部の部室のような場所です。フィギュアを仕上げるにはこの上ない快適な空間です。
多人数でシェアして使う机の一席を借り、
タミヤ メイクアップ材シリーズ No.56 フィニッシングペーパー 800番 87056でやすりがけを始めます。
つるんとしたところで、丸刀で毛並みを作ります。
サーバルキャットを製作する上で作っている間ずっとどう作るか悩んでいたのが「毛並み」だったのですが、丸刀を使うことである程度うまく表現できました。仕組みはこうです。
延々と丸刀で彫り続けて全身が整いました。作業も終盤です!
塗っていきます。仕上がりの決め手となる作業ですから緊張します。
使用した絵の具はサクラクレパス 絵の具 アクリルガッシュ 12色13本 AGW13。
アクリル絵の具は乾くと不透明になり、綺麗に重ね塗りができるので失敗しても上から塗れるだろうと思い使用しました。
このくらいの色でいいかなー、ぬりぬり…
コン
見事なキツネ色になりました。サーバルちゃんはこのまま別のキャラになってしまうのか…ご心配なく、そこはアクリル絵の具です。
白の絵の具をごく薄く溶いて、均一に塗ってやります。
明るすぎたオレンジ色、黄色がすりガラスのようにボケました。次に…
黄色めの土色を作ります。上から毛並みを描くように塗ってやると、
分かりにくいですがくすんだ感じに変わりました。すでに写っちゃってますが模様も黒で筆をジグザグにこするタッチで書いていきます。
全ての模様が塗り終わると……
できた!!!と言いたいところですが、仕上げにやりたかったことが一つ残っています。
この下の完成品の写真と同時に、何を使ったかご紹介します。
目元に注目すると、粘土にはありえないハイライト(瞳に映っている光)があるのが分かるでしょうか。
この眼球はUVレジンで実現しました。UVレジンとは紫外線で固まる透明な樹脂です。
爪楊枝ですくって眼窩に乗せ、紫外線ライトで照らして作りました。
ネコ科はガラス玉のような眼がどんな動物よりキレイだと思っていたので、眼の材質は絶対に粘土と変えたかったのです。
使用の際のアドバイスと素材を貸して下さったのは秋葉原工作室。自分で用意しようと思っていたのですが快く貸して下さいました。
素材の詳細はこちらです。
レジン液 パジコ 太陽の雫 ハードタイプ 25g 404169
■超小型紫外線LEDライト UVLEDライトPro スジボリ堂 / LED010 / 工具素材 □
目元や口元のごく細かい模様はガンダムマーカー GM407 リアルタッチマーカー ブラウン1。
本来ガンダム等プラモデルに使うものですが、プラモデル用の細いペン先とコシが顔の描き込みにぴったりでした。
以上で自分のアイデアだけ(一部ご指南いただきましたが)で作る作品は完成です。
「こんなものか」「ここまでできるのか」「こんな道具があるんだ」「もっといい道具があるのに」、見て下さったみなさまが、色んな感想を持てるような作品になっていれば幸いです。
ではまた!
(妙にスケールが合う)